みなさん、こんにちは。
ローカルトラベル・パートナーズの石垣です。
今日は、全国各地で、自治体により開催されているモニターツアーについて、私の考えをお話しさせていただきたいと思います。
インバウンド業界におけるモニターツアーとは、一般的には、国内在住の外国人の方を無料でツアーにご招待し、(謝礼もお支払いするのかもしれませんが)ツアー中に写真や動画を撮ったり、SNSで拡散したりし、外国人が日本を楽しんでいるという素材を集めるとともに、ツアー終了後には感想をフィードバックしてもらい、内容を改善し、実際のツアー販売に向けるというものです。
取り組み自体を否定するものではありませんが、果たしてその後、どれだけ販売につながっているのだろうか?と疑問に思うことが多いです。自治体が見せたいところ、回ってほしいところをモニターツアーで満腹に体験してもらっても、そのツアーの再現性がなければ、モニターツアーだけで終わってしまいます。例えば、施設は体験をいつでも受け入れできるのか?とか、ガイドは確保できるのか?とか、自転車を使うなら、常にスタート地点に自転車を用意できるのか?とか、詰めておかないと、実際の販売は難しいと思います。
また、誰に対して、どうやって販売するのか?ということをどこまで考えているのだろうか?とも思います。
おそらく、モニターツアーを開催しただけで終わっていることも多いのではないかと思います。
弊社では、モニターツアーは開催しておらず、私とガイドさんで実際の行程を回って、コンテンツを作り、販売しています。
海外の旅行会社の担当者から、「こういうことができないでしょうか?」といった相談をいただいて、コンテンツを組み立てたり、そういう話を聞いているうちに、「きっとこういう体験は、フランス人カップルには受けそうだな。」とか、「こういうレンタカー旅行は、シンガポール人ファミリーに喜ばれそうだな。」などと考えて、提案したりしています。
何が言いたいのかと言うと、自治体が売りたいものを考えて、それをパッケージ化して、プロダクトアウトするのではなくて、海外からの訪日旅行者がどんなことに興味を持っていて、体験したいのかというマーケットインで考えることが必要なのではないかということです。
私自身もこんなことがありました。これはモニターツアーとは関係ないのですが、今年の春、和歌山県の新宮港に入港するクルーズ船のお客様(アメリカの旅行会社)に、現地バス会社に作ってもらった寄港地ツアーを提案しました。熊野三山を巡るというツアーです。これはきっと良いだろうと思ったのですが、先方からの回答は、「アメリカ人にとって、1日に神社を3つも回るのはきつい。熊野三山なので、3箇所とも回るのが良いということはわかるけど、神社は2箇所にして、もう1箇所は夫婦岩など景色を楽しめる所にしてほしい。」と。なるほど、こちらで良かれと思っても、ニーズは違うんだなと思いました。
お読みいただき、ありがとうございました。
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